1 事案の内容

顧問先の医療法人で、解雇した職員が弁護士に依頼し、解雇の無効を求める労働審判を起こしてくる事態となりました。
そして、労働審判への対応について、当弁護士法人にご相談・ご依頼いただきました。
解雇の理由は、職場の指示連絡系統を守らず、協調性がないために、業務に支障をきたしていることなどでした。

2 当弁護士法人の対応

当弁護士法人の弁護士は、労働審判の第1回期日に向けて、答弁書などの作成に着手しました。
まずは、答弁書の提出期限までのタイトなスケジュールの中で、当該医療法人における指示連絡のルールとその目的、当該職員の問題行為の時期や内容などを詳細に確認しました。
そして、同僚の職員からのヒアリングや陳述書(事実関係の説明書面)の取り付けを行ったうえで、答弁書などの書面を完成し、裁判所に提出しました。

労働審判の第1回期日では、裁判官と労働審判員から、当事者双方に対し、事実関係の確認が行われました。
そして、裁判官から、和解案が示されました。
裁判官から示された和解案は、当該職員が復職を諦める代わりに、解決金300万円を支払うというものでした。
当該医療法人と当弁護士法人の弁護士は、仮に裁判となった場合には敗訴のリスクがあること、および、早期に解決できるメリットなどを踏まえ、裁判官の和解案に応じることに決めました。
そして、当該職員側も、裁判官の和解案に応じる意向を示したため、第1回期日で和解解決となりました。

3 解決のポイント

日本の法律のもとでは、解雇が有効とされるハードルは非常に高く、基本的には解雇をお勧めすることはできません。
しかし、企業としては、問題社員の解雇に踏み切らざるを得ない場面もあり得ます。
企業が従業員の解雇に踏み切れば、解雇した従業員が労働審判などの法的措置を講じてくることがあり、そうなると、弁護士による対応が必要となります。
従業員側から不当解雇を争われると、企業側としては不利な戦いとなるのが一般的です。
しかし、企業側の弁護士が必要な主張・立証を展開し、粘り強く争っていけば、解決金の支払による着地が可能なことも多いです。