青森シティ法律事務所では、離婚に関するご相談・ご依頼を多数お受けしております。
今回のコラムでは、多くのご相談をいただく不倫・浮気の被害による離婚について、ご説明いたします。
 

1 不倫・浮気の被害による離婚について

配偶者が不倫・浮気をした場合には、離婚を請求することができます。
これは、民法770条1項5号で不貞行為(不倫・浮気)が法律上の離婚原因として定められていることが根拠であり、世間一般の常識・感覚にも沿うものでしょう。

また、配偶者が不倫・浮気をした場合には、配偶者および不倫・浮気相手に対して慰謝料を請求することができます。

ただし、配偶者や不倫・浮気相手が不倫・浮気の事実を認めない場合には、証拠により不倫・浮気の事実が証明できなければ、離婚や慰謝料を請求することは困難です。

2 不倫・浮気の証拠と収集方法について

不倫・浮気の証拠として、証拠価値が高いものの例は次のとおりです。

証拠の種類 証拠の内容
メール・SNSなどの通信履歴や日記 肉体関係があったことを推認できる内容
ラブホテルへの出入りや宿泊を伴う旅行・異性と同室でのホテル宿泊・異性宅での外泊があったことを推認できる内容
領収書やクレジットカードの利用明細・利用記録 ラブホテルの利用・宿泊を伴う旅行・異性と同室でのホテル宿泊など、肉体関係があったことを推認できるもの
写真・動画 性交渉ないしそれに類する内容のもの
ラブホテルへの出入りや宿泊を伴う旅行・異性と同室でのホテル宿泊・異性宅での外泊があったことを推認できる内容
録音データ・念書 肉体関係があったことを認めたもの
ラブホテルへの出入りや宿泊を伴う旅行・異性と同室でのホテル宿泊・異性宅での外泊があったことを認めたもの
探偵・調査会社の調査報告書 ラブホテルへの出入りを示す写真などが付いているもの

同じ種類の証拠であっても、有効性はその内容によりますので、できる限り多くの証拠を集めるのがよいでしょう。

そして、証拠の収集方法として、メール・SNSなどの通信履歴や日記であれば、該当部分を写真撮影することが考えられます。
配偶者や不倫・浮気相手が不倫・浮気の事実を認めているのであれば、その会話を録音したり、念書を書かせたりすることにより証拠を確保できます。
一方で、ラブホテルへの出入りの場面を押さえるのは、探偵・調査会社に依頼しなければ困難なことが多いでしょう。

3 不倫・浮気の被害による慰謝料請求と金額の相場について

配偶者が不倫・浮気をした場合、配偶者と不倫・浮気相手は連帯責任です。
双方に対して慰謝料を請求することができますし、片方だけに対して請求しても構いません。

不倫・浮気の被害により離婚に至る場合の慰謝料の金額は、150万円から200万円程度が相場であると考えられます。
なお、慰謝料の金額が200万円であるとして、配偶者と不倫・浮気相手の双方から200万円、合計400万円を受け取ることができるという意味ではなく、配偶者と不倫・浮気相手から合わせて200万円を受け取ることができるという意味になります。

ただし、上記の相場はあくまでも目安であり、個別の事案における様々な事情により慰謝料の金額は左右されます。
例えば、不倫・浮気の回数が1回のみであり、婚姻期間が1年未満と短く、不倫・浮気があった時点で夫婦関係が相当悪化していたような事案では、慰謝料の金額が上記の相場よりも低くなる可能性が高いでしょう。

4 不倫・浮気の被害による離婚・慰謝料請求の手続について

離婚の手続は、離婚協議、離婚調停、離婚訴訟の3段階です。
配偶者に対する慰謝料請求は、このような離婚の手続の中で、離婚条件の一つとして請求していくこととなります。

一方で、不倫・浮気相手に対する慰謝料請求は、示談交渉、裁判の2段階が基本です。
配偶者との離婚の手続と不倫・浮気相手に対する慰謝料請求の手続を同時進行で進めていくか、切り離して進めていくかは事案によります。
配偶者に対しては慰謝料を請求せず、不倫・浮気相手に対してのみ請求する場合には、切り離して進めていくことになるでしょう。

これらの手続を進めるうえでのポイントは、証拠の確保、法的な知識・経験と交渉力です。
専門家である弁護士にまずはご相談いただくことをお勧めいたします。

5 弁護士にご相談ください

青森シティ法律事務所では、これまでに、不倫・浮気の被害による離婚の問題を解決してきた実績が豊富にございます。
お悩みの方がいらっしゃいましたら、お気軽に青森シティ法律事務所にご相談いただければと存じます。

(弁護士・木村哲也)

当事務所の弁護士が書いたコラムです。

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年月日
コラム
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29 R6.5.8 小規模個人再生と給与所得者等再生
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27 R6.2.14 モラルハラスメント(モラハラ)の被害による離婚
26 R5.12.7 交通事故による脊髄損傷
25 R5.11.1 企業・法人が従業員を解雇する際の注意点
24 R5.10.26 自己破産における免責不許可事由
23 R5.10.16 相続争いを予防するための遺言書の作成
22 R5.9.27 DV(暴力)の被害による離婚
21 R5.9.6 交通事故による骨折
20 R5.8.17 企業・法人におけるクレーム対応のポイント
19 R5.7.18 借金・債務整理において任意整理を選択すべきケース
18 R5.7.5 借金を相続しないための相続放棄
17 R5.6.20 離婚における慰謝料
16 R5.6.5 交通事故による高次脳機能障害
15 R5.5.18 企業・法人における売掛金の債権回収の方法
14 R5.3.8 ローン返済中の住宅を維持したままの民事再生(個人再生)
13 R5.2.13 相続における遺留分と遺留分侵害額請求の制度
12 R5.1.18 離婚における財産分与
11 R4.12.27 死亡事故における損害賠償請求のポイント
10 R4.12.6 企業・法人における契約書作成のポイント
9 R4.11.14 自己破産の同時廃止事件と管財事件
8 R4.10.24 遺産分割の問題は早めに解決しましょう。
7 R4.9.27 離婚とお金の問題について(財産分与・慰謝料・婚姻費用・年金分割)
6 R4.9.12 交通事故における後遺障害等級の認定手続について
5 R4.8.29 企業・法人における問題社員対応の注意点
4 R4.8.22 借金・債務整理の手続について
3 R4.8.8 遺産分割の手続の流れ
2 R4.8.1 離婚と子どもの問題について(親権・養育費・面会交流)
1 R4.7.14 交通事故の被害に遭った時の対応で気を付けてほしいポイント