1 はじめに
民事再生(個人再生)には、小規模個人再生と給与所得者等再生という2つの手続があります。
今回のコラムでは、それぞれの制度の概要や、どちらの制度を選択するべきか、という点について、ご説明いたします。
2 小規模個人再生とは?
小規模個人再生は、個人再生手続の1つです。
財産や収入が不足して借金の返済が困難になった方が、裁判所から認可を受け、借金を2割程度に減額し、それを原則3年で返済する再生計画に従って、債務を返済する手続です。
この手続は、過去7年以内に自己破産による免責(借金の免除)などを受けている場合であっても、利用することが可能です。
ただし、債権者の数および貸付額において過半数の反対がないことが、再生計画認可のための条件となります。
3 給与所得者等再生とは?
給与所得者等再生も、個人再生手続の1つですが、小規模個人再生の特則という関係にあります。
この手続は、小規模個人再生と比較して、月々の返済額が高額になるのが通常です。
また、過去7年以内に自己破産による免責などを受けている場合には、この手続を利用することはできません。
一方で、債権者からの過半数の反対があったとしても、この手続を利用することができます。
4 小規模個人再生と給与所得者等再生はどちらを選択するのがよいか?
民事再生(個人再生)の目的は、借金返済の負担を軽減することにあります。
そのため、月々の返済額を低額に抑えることができる小規模個人再生の手続を選択することを、まずは検討しましょう。
ただし、小規模個人再生では、債権者の数および貸付額において過半数の反対がないことが、再生計画が認可されるための条件です。
逆に言えば、債権者から過半数の異議が出されれば、再生計画が認可されることはなく、小規模個人再生の手続は失敗に終わってしまいます。
全件異議を出してくる金融業者も存在しますし、金融業者ではない債権者からの異議は珍しくありません。
そのため、債権者の過半数から異議が出されることが見込まれるのであれば、給与所得者等再生の手続を選択せざるを得ないでしょう。
なお、小規模個人再生を申し立てたものの、債権者からの過半数の異議により失敗に終わった場合であっても、改めて給与所得者等再生の申立てを行うこともできます。
したがって、債権者から過半数の異議が出されるかどうかの見通しが立たない場合には、ひとまず小規模個人再生を申し立て、債権者からの過半数の異議により再生計画が認可されなかったときには、給与所得者等再生の申立てに切り替える、という対応も有効でしょう。
5 弁護士にご相談ください
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(弁護士・一戸皓樹)