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借金・債務整理の方法のうち、自己破産とは一定の生活用品・金銭を除く財産を失う代わりに、借金を免責(免除)してもらう手続です。
自己破産には、同時廃止事件と管財事件の2つがあります。
同時廃止事件と管財事件とは、裁判所が選択することになるのですが、どちらに振り分けられるかによって、手続の進行や費用の負担に違いが出てきます。
今回のコラムでは、自己破産の同時廃止事件と管財事件についてご説明させていただきます。
1 同時廃止事件とは
同時廃止事件とは、裁判所に自己破産の申立てをしたあと、破産管財人(後述)が選任されることなく、破産審尋、破産手続開始決定、免責審尋、免責許可決定の流れで手続が進行していくものです。
破産審尋とは、裁判官との面接手続であり、借金をした理由、返済が不可能になった経緯などを質問されます。
免責審尋とは、裁判官との面接手続であり、免責不許可事由(後述)の有無などを質問されます。
破産審尋および免責審尋は、省略されることもあります。
免責審尋は、個別に裁判官と面接するのではなく、複数の破産者に対して裁判官が自己破産の手続終了後の注意事項などを説明し、あるいは、自己破産に至る経緯等を尋ねて今後の生活の改善・更生を促すなど、集団面接の形で行われることもあります。
同時廃止事件のスケジュールは、自己破産の申立てのあと、おおむね約2週間で破産手続開始決定が出され、その約3か月後に免責審尋の期日が指定され、免責審尋の期日と同日または近接する日には免責許可決定が出され、手続が終了となります。
なお、免責審尋が省略される場合には、破産手続開始決定のあと、免責審尋が行われることなく、約3か月後に免責許可決定が出され、手続が終了となります。
2 管財事件とは
管財事件とは、裁判所が破産管財人を選任し、破産管財人が自己破産に至る経緯の調査、破産者の財産の調査・管理・処分、債権者に対する配当などの業務を行うという類型の破産手続のことです。
破産管財人とは、裁判所から選任されてこれらの業務を担う者のことであり、通常は弁護士(破産者の代理人とは別の弁護士)が選任されます。
そして、破産管財人による上記の業務が一通り完了すると、破産管財人から免責に関する意見が述べられ、問題がなければ免責許可決定が出され、手続が終了となります。
管財事件となる場合には、自己破産の申立てのときに、破産管財人の報酬予定額を裁判所に納付する必要があります。
これを破産予納金と言います。
破産予納金は、通常は最低でも20万円かかり、複雑な事案などでは30万円以上用意する必要があります。
また、管財事件のスケジュールは、破産手続開始決定のあと、約3か月後に債権者集会の期日が指定され、1回の債権者集会で手続が終了となる場合もあります。
債権者集会とは、裁判所で開催される集会であり、破産管財人が債権者に対し、手続の進捗状況を報告し、債権者の意見を聴取する手続です。
しかし、1回目の債権者集会までに破産管財人の業務が完了せず、残務があるという場合には、2回目以降の債権者集会の期日も指定され、手続の終了までに半年ないし1年以上かかることもあります。
このように、管財事件は、同時廃止事件と比較して費用が多くかかり、手続の終了までの時間が長くかかることもありますので、同時廃止事件と管財事件のどちらに振り分けられるかは、自己破産を申し立てる人にとって重大な関心事であると言えます。
3 同時廃止事件と管財事件の振り分け
同時廃止事件か管財事件かは、裁判所が選択します。
管財事件に振り分けられるのは、20万円以上の財産がある場合、法人および法人の代表者の場合、個人事業主の場合(過去に事業を営んでいた人を含む)、免責不許可事由があると考えられる場合などです。
免責不許可事由とは、財産を隠匿・損壊すること、特定の債権者のみに対して返済をすること、借金の原因が浪費・ギャンブルであることなど、一定の事項に該当するときは、借金の免責が受けられなくなる可能性があるという制度です。
ただし、個人事業主(過去に事業を営んでいた人を含む)については、非事業者と同視できる程度の財産関係・契約関係しかなく、破産管財人による調査を経るまでもなく、同時廃止の要件を満たしていることを容易に判断できる場合には、同時廃止事件となることがあります。
また、免責不許可事由があると考えられる場合であっても、問題の程度がそれほど大きくないと判断されれば、同時廃止事件となることがあります。
なお、免責不許可事由があり、管財事件に振り分けられてしまったとしても、問題の程度が相当重大なものでなければ、自己破産に至る経緯や破産管財人の業務への協力姿勢などを考慮し、最終的には借金の免責を受けられることも少なくありません。
そして、管財事件に振り分けられなかったものは、同時廃止事件となります。
同時廃止事件と管財事件のどちらに振り分けられそうか、最終的に借金の免責を受けられそうかについては、専門家である弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。
4 弁護士にご相談ください
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(弁護士・木村哲也)