1 労災事故の状況
依頼者は、丸ノコ切断機で木材切断の作業中、木材を固定する部位に手を挟まれ、手指を3本切断する労働災害(労災)の被害に遭いました。
労災保険では、障害等級8級3号が認定されました。
2 相談・依頼のきっかけ
依頼者は、丸ノコ切断機に安全装置が設置されておらず、作業効率の向上のために会社独自の改造を行っていたことなどから、会社に対して安全配慮義務違反による損害賠償請求をしたいとのご希望で、当弁護士法人の事務所にご相談・ご依頼いただきました。
3 当弁護士法人の活動
当弁護士法人の弁護士は、労働基準監督署や労働局の情報開示手続をサポートし、証拠資料を収集しました。
また、丸ノコ切断機のメーカーに照会し、会社独自の改造が不当なものであることの裏付けを得ました。
そのうえで、会社の対応が不誠実なものであったことから、依頼者と協議し、適正な賠償金を求めて訴訟(裁判)を提起しました。
4 当弁護士法人が関与した結果
裁判では、会社側の弁護士は、会社には安全配慮義務違反がないこと、労働災害の発生に依頼者の過失(不注意)が関与していること(過失相殺)などを主張してきました。
これに対し、当弁護士法人の弁護士は、事前に入手した資料を提出しながら、会社の安全配慮義務違反を主張・立証するとともに、依頼者の過失について、会社側が主張するほど不注意の程度(過失割合)が大きくないことを主張していきました。
そして、裁判官からは、会社の安全配慮義務違反が認められる一方で、依頼者も一定の過失があるとの心証が開示されました。
そのうえで、裁判官から開示された心証を踏まえた和解協議が重ねられ、最終的に支払額1400万円での和解解決を勝ち取ることができました。
5 解決のポイント
労働災害による損害賠償請求では、安全配慮義務違反の有無や過失相殺・過失割合が争点となることが少なくありません。
当弁護士法人の弁護士による綿密な証拠資料の収集と、訴訟(裁判)における粘り強い主張・立証活動により、適正な解決を勝ち取るポイントとなりました。